軽貨物のリアル
2026.08.08
軽貨物ドライバーの未来はどうなる?需要・AI・自動運転から考えるこれからの軽貨物業界
「軽貨物ドライバーって、これからも仕事はあるの?」
「AIや自動運転が普及したら、配達の仕事はなくなるんじゃない?」
「今から軽貨物ドライバーを始めても遅くない?」
これから軽貨物ドライバーを始めようと考えている方の中には、こうした疑問を持っている方も多いのではないでしょうか。
AIや自動運転、配送ロボットなどの技術が急速に進化している一方で、ネット通販の普及によって宅配の需要は増え続けています。
では、これから軽貨物業界はどうなっていくのでしょうか。
今回は、長年軽貨物業界に携わってきたコウショウ物流の視点から、軽貨物ドライバーの未来や今後の需要、業界が抱える課題について考えていきます。
軽貨物業界の未来はどうなる?
まず大きな流れとして、今後も配送そのものの需要は増えていくと考えています。
理由の一つが、ネット通販をはじめとするEC市場の拡大です。
少し前までは、お店へ行って商品を購入することが当たり前でした。
しかし現在では、
「日用品はネットでまとめて買う」
「重たいものは自宅まで届けてもらう」
という方も珍しくありません。
さらに最近では、ネットで購入できるもの自体が増えています。
洋服や家電、日用品だけではありません。
冷凍技術や物流網の発達によって、お弁当や冷凍食品、宅食サービスなども自宅まで届けてもらえるようになりました。
数日分・1週間分の食事をまとめて注文するサービスなども増えています。
つまり、これまで自分で買いに行っていたものが、少しずつ「自宅まで届けてもらうもの」に変化しているのです。
この流れを考えると、今後も配送需要そのものが急になくなるとは考えにくいでしょう。
宅配便の取扱個数は今後も増えていく?
現在、国内では年間50億個前後という非常に多くの宅配便が取り扱われています。
そして今後もEC市場の成長などによって、宅配物量がさらに増えていく可能性があります。
実際、私たちが現場で企業の方と話をしていても、
「毎年少しずつ荷物が増えている」
という話を聞くことがあります。
もちろん将来の数字を正確に予測することはできません。
しかし、
「ネットで注文して、自宅まで届けてもらう」
という生活スタイルがすぐになくなるとは考えにくいでしょう。
そう考えると、軽貨物ドライバーが担っているラストワンマイル配送の重要性も、引き続き高い状態が続くのではないかと考えています。
荷物が増えたらドライバーも増やせばいい?
ここで軽貨物業界にとって大きな課題があります。
荷物が増えたからといって、その分だけドライバーを増やせば解決するとは限らないことです。
例えば、あるドライバーが現在1日100個の荷物を配達しているとします。
仮に担当エリアの荷物が20%増えれば、単純計算では120個になります。
もちろん新しいドライバーを採用して配送エリアを分ける方法もあります。
しかし今後重要になるのは、それだけではありません。
一人ひとりのドライバーの生産性を高めていくこと。
これが非常に重要だと考えています。
軽貨物業界では「生産性」が重要になる
例えば、これまで8時間で100個配達していた人が、同じ8時間で120個配達できるようになったらどうでしょうか。
単純に「もっと急いで配達する」という意味ではありません。
AIや配送アプリ、ルート最適化などの技術を活用して、
- 荷物を探す時間を減らす
- 効率の良い配送ルートを自動で組む
- 初心者でも迷いにくくする
- 再配達を減らす
- 積み込みや仕分けを効率化する
こうした仕組みを整えることで、同じ労働時間でもより多くの荷物を届けられる可能性があります。
これから軽貨物会社に求められるのは、単純に、
「ドライバーをたくさん集める」
ということだけではないと思っています。
所属しているドライバーが、より効率良く働ける環境をつくること。
こちらも重要になってくるでしょう。
ドライバーの報酬も上がっていく必要がある
生産性を高める必要がある理由は、荷物が増えるからだけではありません。
物価も上昇しています。
ガソリン代や車両費、保険料、日々の生活費などが上がっていけば、ドライバーの収入もそれに合わせて上がっていかなければ、実質的な生活は苦しくなってしまいます。
そのため、
一人あたりの生産性を上げ、その成果をドライバーの報酬にもつなげていく。
こうした仕組みが今後ますます重要になると考えています。
実際、配送単価についても長期的に見れば変化しています。
10年ほど前には1個145円〜150円程度だった仕事が、現在では180円〜200円前後になっているケースもあります。
もちろん案件や地域、配送内容によって単価は異なるため、すべての仕事に当てはまるわけではありません。
それでも、「軽貨物の運賃はずっと変わっていない」というわけではありません。
AIによって軽貨物ドライバーの仕事はなくなる?
ここからは、多くの方が気になっている話です。
AIが進化すると、
「軽貨物ドライバーはいらなくなるのでは?」
と思う方もいるでしょう。
私たちは、AIによって軽貨物ドライバーという仕事がすぐになくなるとは考えていません。
むしろAIは、ドライバーをなくす技術ではなく、ドライバーがより多くの荷物を効率良く届けるための技術
として活用されていく可能性があると思っています。
例えば現在でも、配送ルートを効率化するシステムがあります。
将来的には、
荷物を積み込む
↓
システムが最適な配送ルートを作成
↓
次の配送先までナビゲーション
↓
到着後にドライバーが荷物を届ける
という流れが、今以上に自動化されるかもしれません。
そうなれば、土地勘のない新人ドライバーでも、短期間で一定数の荷物を配れるようになる可能性があります。
これまで「経験」が必要だった部分をテクノロジーが補ってくれる。
そんな未来は十分考えられるでしょう。
自動運転が普及したらどうなる?
AIと同じくらい注目されているのが自動運転です。
すでに一部の地域では、自動運転車両の実証実験なども行われています。
将来的には配送車両にも自動運転技術が導入される可能性があります。
例えば、
100件分の荷物を積む
↓
配送ルートが自動作成される
↓
車が次の配送先まで移動する
↓
ドライバーが降りて荷物を届ける
という形です。
こうなれば、ドライバーは運転やルート選択に使っていた時間・労力を減らし、「届ける」という業務に集中できるようになります。
これも結果的にはドライバー一人あたりの生産性向上につながります。
ドローンや配送ロボットに仕事を奪われる可能性は?
配送ロボットについては、すでに活用できそうな場面があります。
例えば、
- 大型商業施設
- ホテル
- オフィスビル
- 大規模マンション
- 限定された敷地内
などです。
決められた建物やエリアの中であれば、ロボットが自動で荷物を運ぶ仕組みは今後さらに増えていく可能性があります。
一方で、一般住宅まで車で向かい、玄関まで荷物を持っていき、インターホンを押し、お客様に直接荷物を渡す。
この一連の仕事を完全に無人化するのは、まだ簡単ではないでしょう。
住宅環境は一軒一軒違います。
マンションもあれば一戸建てもあり、細い道もあれば階段もあります。
さらに置き配だけでなく、対面での受け渡しや時間指定などもあります。
そのため、技術が発達したとしても、
最後にお客様へ荷物を届ける「人」の役割は当面残るのではないかと考えています。
軽貨物業界の「多重下請け構造」は変わっていく?
もう一つ、これからの軽貨物業界で変化していく可能性があるのが契約構造です。
軽貨物業界では、
荷主
↓
元請け会社
↓
配送会社A
↓
配送会社B
↓
ドライバー
といった形で、複数の会社を経由して仕事が委託されるケースがあります。
当然、間に入る会社が増えれば、実際に配送するドライバーへ支払われる金額にも影響する可能性があります。
こうした多重構造については、今後見直しが進んでいく可能性があると考えています。
実際、取引先企業から、
「自社で直接契約しているドライバーまでにしてほしい」
といった条件が提示されるケースもあります。
契約書でも再委託や再々委託について細かく定められることがあります。
これからは単純にドライバーを右から左へ紹介するだけではなく、
自社で直接契約しているドライバーを育成し、管理し、配送品質を高められる会社
がより求められるようになるのではないでしょうか。
これから軽貨物会社に求められるもの
ここまでの話をまとめると、これからの軽貨物会社に必要なのは「人数」だけではないと考えています。
ドライバーを採用する。
そして採用したドライバーが短期間で仕事を覚え、効率良く配送できる仕組みをつくる。
さらに長く働き続けられる環境を整える。
ここまで考える必要があります。
コウショウ物流でも現在、IT関連企業などと話をしながら、
「未経験者でも短期間で1日100個〜120個程度を配れるようになるためには、どのような仕組みが必要なのか」
という部分について検討を進めています。
今と同じ労働時間でも、より多くの荷物を効率良く届けられる。
その結果、ドライバーの売上や報酬にもつながっていく。
こうした環境をつくっていくことが、これからの配送会社の役割だと考えています。
今から軽貨物ドライバーを始めても遅くない?
ここまで読んで、
「結局、今から軽貨物ドライバーを始めても大丈夫なの?」
と思っている方もいるかもしれません。
未来のことなので、「絶対に大丈夫」と断言することはできません。
AIがどこまで進化するのか。
自動運転がいつ本格的に普及するのか。
配送ロボットやドローンがどこまで実用化されるのか。
正確に予測することは誰にもできません。
ただ、現時点で言えるのは、
荷物を届けてほしいという需要そのものは、今後も大きく存在すると考えられる
ということです。
ネット通販が普及し、食品まで自宅へ届く時代になりました。
配送する荷物が増えれば、それを最後にお客様へ届ける人や仕組みが必要になります。
だからこそ、軽貨物ドライバーという仕事は、まだまだ挑戦する価値のある仕事だと私たちは考えています。